遺伝と遺伝子 〜 注45

公開: 2023年12月28日

更新: 2023年12月28日

注45. 遺伝と遺伝子

生物の個体は、その親の個体がもつ性質を受け継(つ)ぎます。子供が親に似ているのは、この「遺伝」(いでん)と呼ばれている性質のためです。例えば、私たちの肌の色は、普通、親の肌の色によって決まります。ただ、この遺伝には、「突然変異」(とつぜんへんい)と呼ばれる、普通の遺伝とは違って、親の性質を全く受け継がない場合もあります。

この遺伝は、生物の体を作っている細胞の中にある、遺伝子(いでんし)と呼ばれる4種類のアミノ酸と呼ばれる物質の長い列によって決まることが分(わ)かってきました。生物の個体の性質、つまり肌の色などは、この4種類のアミノ酸の並びの1部分が変化することによって、決まっています。この遺伝子は、「デオキシ・リボ核酸」とも呼ばれているので、簡単に、DNAとも呼ばれます。

最近では、古代人の遺骨からも、このDNAを取り出し、遺伝子の列を解明することができるようになりました。この技術の進歩によって、縄文時代の人々の人骨からDNAを抽出(ちゅうしゅつ)して分析し、現代の日本人とのDNAと比較することができるようになっています。その結果、縄文時代の人々と、現代日本人のDNAと共通する部分は、10パーセント程度であることが分かっています。また、現代のアイヌ系の人々と、縄文時代の人々とのDNAを比較すると、約70バーセントが共通しているそうです。

参考になる読み物

NHK BS101、フロンティア「日本人とは何者なのか」、2023年12月6日放送